人は、一人で考えているように見えます。
でも、本当は、いつも一人で考えているわけではありません。
誰かと話しているうちに、考えがまとまることがあります。自分では気づいていなかったことに、気づくこともあります。「それは違う」と言われて、初めて自分の考えがはっきりすることもあります。
本を読んだり、ノートに書いたりしているときにも、同じようなことが起こります。私たちは、外から何かを受け取り、それに反応しながら考えています。
生成AIも、そうした相手の一つです。
生成AIに話しかけると、返事が返ってきます。その返事を読んで、納得することもあります。何か違うと思うこともあります。分からないこともあります。
そんなときは、もう一度話しかけます。
「そういう意味ではありません」
「もっと簡単に説明してください」
「私が言いたいのは、こういうことです」
そう伝えると、また返事が返ってきます。
このやり取りを続けていると、最初には見えていなかったものが、少しずつ見えてきます。考えがまとまることがあります。やりたいことがはっきりすることがあります。自分でも知らなかった気持ちに気づくこともあります。
生成AIを使うというと、上手な質問を考えなければならないと思う人がいます。正しい言葉で命令しなければならないと思う人もいます。
でも、最初から上手に話す必要はありません。考えがまとまっていなくてもかまいません。何を聞けばいいのか分からなくてもかまいません。
まず、今考えていることを話してみればいいのです。
うまく伝わらなければ、言い直せます。返事が難しければ、分からないと言えます。違っていれば、違うと言えます。
生成AIとのやり取りは、一回の質問と一回の答えで終わるものではありません。
話す。
返事を読む。
考える。
もう一度話す。
その繰り返しです。
その中で、生成AIから返ってくる言葉だけでなく、話している人の考えも変わっていきます。
この本では、生成AIの中にある難しい技術について、くわしく説明しません。特別な命令文の書き方を教える本でもありません。
生成AIと人間のあいだで、どのようなことが起きるのか。
人は生成AIと、どのように話せばよいのか。
そして、話しているうちに、なぜ考えや仕事が少しずつ形になっていくのか。
それを、できるだけ普通の言葉で考えていきます。
生成AIは、何でも正しく教えてくれる先生ではありません。言われたことを完璧にこなす機械でもありません。
けれど、話しながら一緒に考える相手にはなれます。
大事なのは、最初の返事ではありません。
その返事を読んだあなたが、次に何を話すかです。