GENAI-RON🧠生成AI論🥦

生成AIと話すと、考えが見えてくる 第1章

第1章 まず、話してみる

答えをもらうだけではない、対話としての生成AI入門

生成AIを使うとき、最初に何を話せばいいのでしょうか。

答えは、あまり難しくありません。

今、考えていることを、そのまま話せばいいのです。

たとえば、

「仕事で困っていることがあります」

「文章を書きたいけれど、うまくまとまりません」

「これから何をすればいいか、整理したいです」

そんな始め方でかまいません。まだ、質問の形になっていなくても大丈夫です。

何を知りたいのか、自分でもよく分かっていないことがあります。人に相談するときも、最初から話がきれいにまとまっているとは限りません。

話しているうちに、

「自分が困っていたのは、そこだったのか」

と気づくことがあります。

生成AIとの対話でも、同じことが起こります。

上手な質問を作らなくていい

生成AIを使うには、上手な質問を書かなければならないと思っている人がいます。長く、くわしく、正確に書かなければ、よい返事が来ないと思うかもしれません。

たしかに、くわしく伝えた方が、話が早く進むことはあります。でも、最初から全部を説明する必要はありません。一度でうまく伝わらなければ、あとから足せばいいからです。

たとえば、こんなふうに話し始められます。

「お客様に送るメールを書きたいです」

すると、生成AIはメールの案を返してくるかもしれません。

そのメールを読んで、

「少しかたすぎる」

と思ったら、そう伝えます。

「もう少しやわらかい文章にしてください」

相手の名前が入っていなければ、あとから伝えます。

「相手は佐藤さんです」

大事なことが抜けていれば、それも足します。

「来週までに返事がほしいことも入れてください」

このように、会話を続けながら作っていけばよいのです。

最初の言葉は、完成した命令ではありません。

会話の始まりです。

うまく説明できなくてもいい

自分の考えを言葉にするのは、簡単ではありません。頭の中では何となく分かっていても、話そうとすると言葉が出てこないことがあります。

そんなときは、

「うまく説明できません」

と、そのまま書いてもかまいません。

たとえば、

「うまく説明できないのですが、仕事のやり方を少し楽にしたいです」

と話します。

すると生成AIから、

「どんな仕事に時間がかかっていますか」

「同じ作業を何度もしていますか」

と聞かれるかもしれません。

その質問に答えているうちに、自分の困りごとが少しずつ見えてきます。

ここで大事なのは、生成AIがすぐに正しい答えを出すことではありません。話すためのきっかけが生まれることです。

自分だけでは考えつかなかった問いを返されることで、話が先へ進みます。

返事がずれても、失敗ではない

生成AIから、思っていたものとは違う返事が返ってくることがあります。

しかし、それは必ずしも失敗ではありません。

返事がずれたことで、

「自分が言いたかったのは、そういうことではない」

と気づけるからです。

たとえば、

「会社の仕事を整理したい」

と話したとします。

すると生成AIが、会社全体の組織づくりについて話し始めるかもしれません。でも、自分が考えていたのは、毎日のメール整理だった。

そのときは、

「会社全体の話ではありません。毎日届くメールの整理についてです」

と伝えます。

この一言で、話の方向が変わります。

ずれた返事は、ただの間違いではありません。自分が言葉にできていなかったことを見つける手がかりにもなります。

「違う」と思った気持ちは、とても大切です。その違いを言葉にすると、対話が深くなります。

分からない言葉が出たら、止めていい

生成AIは、ときどき難しい言葉を使います。聞いたことのない言葉や、英語の短い名前がたくさん出てくることもあります。

そのまま読み進めなければならないと思う必要はありません。分からなければ、止めていいのです。

「その言葉の意味が分かりません」

「もっと簡単な言葉で説明してください」

「私が今やることだけ、一つ教えてください」

そう伝えればよいのです。

分からないのは、使う人の失敗ではありません。難しい説明を、そのまま受け入れる必要もありません。

対話の速さは、自分で決めていいのです。

話が早すぎれば、ゆっくりにする。説明が多すぎれば、短くしてもらう。一度にたくさん出てきたら、一つずつにしてもらう。

生成AIに合わせるのではなく、自分に合わせて話を進めます。

会話の途中で、目的が変わってもいい

最初に話し始めたときと、途中で考えていることが変わることもあります。

文章を書こうとしていたのに、本当は相手に何を伝えたいのか整理したくなる。仕事の自動化を考えていたのに、まず仕事のやり方そのものを見直したくなる。

それでもかまいません。

対話は、決めた道をまっすぐ進むためだけのものではありません。話しながら道を探すこともできます。

人は、考えてから話すだけではありません。話したことで、考えが生まれることもあります。

生成AIとの対話では、このことがよく起こります。

最初に立てた目的を守り続けるよりも、

「今は何を考えているか」

を、その都度話す方が大切です。

生成AIに話しかけるということ

生成AIに話しかけるというのは、正しい命令を入力することではありません。

今の自分の状態を、少し外へ出すことです。

困っている。

迷っている。

何かを作りたい。

うまく言えない。

少し違うと思う。

こうしたことを言葉にして返すたびに、対話は続いていきます。

生成AIとの会話では、最初から答えを知っている必要はありません。きれいな質問を用意する必要もありません。

まず話す。

返ってきた言葉を読む。

そこから、次の言葉を返す。

それだけで始められます。

この章で覚えておきたいこと

生成AIを使うとき、最初から上手に話す必要はありません。考えがまとまっていなくても大丈夫です。

返事がずれたら、違うと言えます。分からなければ、分からないと言えます。

話しながら、自分が何を考えているのかを見つけていけばよいのです。

生成AIを使う第一歩は、正しい質問を作ることではありません。

まず、話してみることです。