GENAI-RON 生成AI論

GENAI-RON叢書 003

生成AIのしくみ 超詳解

実行構造と責任境界

ユーザーが一文を送ってから、生成AIシステムは何を組み立て、何を参照し、何を実行し、どこで止まり、誰が責任を持つのか。

文・編集責任:Taku

目次

01

プロンプトは実行時にどうコンパイルされるのか

ユーザーがチャット欄に書いた文章だけがpromptではない。上位指示、履歴、memory、ファイル、検索結果、tool定義が、実行時に入力環境として組み立てられる。

promptとは、ユーザー文だけではなく、実行時に組み立てられた入力環境である。

02

指示階層とは何か

system、developer、user、tool resultの権限構造を分け、prompt injectionを「資料と指示の境界事故」として理解する。

指示の強さは、言葉の強さではなく、置かれた層によって決まる。

03

contextとは何か

履歴、memory、retrieval、file input、tool resultが、今回の生成にどのように注入されるのかを見る。

contextとは、保存情報そのものではなく、今回の生成に入った入力集合である。

04

ツール実行ループとは何か

modelがtool callを出し、applicationが検証・実行し、tool resultをcontextへ戻す流れを見る。

modelはtoolを直接実行しない。外部世界への接続はapplication層で起きる。

05

構造化出力とは何か

JSON、schema、parse、validate、refusal、retry、repair、handoffまで含む、applicationとの契約として扱う。

構造化出力とは、きれいなJSONではなく、生成AIシステムとの契約である。

06

memoryとは何か

保存された情報が選別され、現在のcontextへ再注入される仕組みとしてmemoryを読む。

memoryとは、モデル内部の体験ではなく、保存・選別・再注入の仕組みである。

07

停止条件と検証ループ

agentic loopを、停止条件、budget、verification、guardrails、handoff、traceによって制御されるloopとして見る。

agentは動き続けるものではなく、止まり、検証し、引き継ぐように設計される。

08

全体アーキテクチャ

model、application、runtime、memory、tools、guardrails、human、auditの責任境界として全体を統合する。

生成AIシステムはmodelだけでは成立しない。責任境界を持つ全体設計である。

対象範囲

本叢書は、生成AIを「なんとなく賢いチャットボット」としてではなく、request、instruction、context、tool、schema、memory、agentic loop、architectureの組み合わせとして理解するための超詳解シリーズである。

中心にある問いは、ユーザーが一文を送ってから、生成AIシステムは何を組み立て、何を参照し、何を実行し、どこで止まり、誰が責任を持つのか、である。

読み方

01〜05では、単発の応答がどのように組み立てられるかを見る。06では、過去情報がどのように保存・参照・注入されるかを見る。07では、agentがなぜ止まり、検証し、handoffする必要があるかを見る。08では、これらをmodel / application / runtime / humanの責任分担として統合する。

01 request / prompt compilation
  ↓
02 instruction hierarchy
  ↓
03 context / memory / retrieval / files
  ↓
04 tool call / tool result / execution loop
  ↓
05 structured output / schema / validation
  ↓
06 memory / personalization / audit
  ↓
07 agentic loop / stop conditions / verification
  ↓
08 full architecture / responsibility boundary

テーマ別の逆引き

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