GENAI-RON🧠生成AI論🥦

生成AIと話すと、考えが見えてくる 第3章

第3章 話しているうちに考えが変わる

答えをもらうだけではない、対話としての生成AI入門

生成AIと話し始めたとき、自分では目的が分かっているつもりでも、対話を続けるうちに考えが変わることがあります。

旅行先を決めたかったのに、本当は「ゆっくり休みたい」のだと気づく。

新しい商品を買う相談をしていたのに、本当に必要なのは、今あるものの使い方を見直すことだと分かる。

仕事を早く終わらせたいと思っていたのに、困っていたのは量ではなく、毎回判断し直さなければならないことだったと気づく。

このような変化は、最初の考えが間違っていたということではありません。

話したことで、考えの奥にあったものが見えてきたのです。

人は、考えてから話すだけではない

私たちは、頭の中で考えを完成させてから話しているように思うかもしれません。

けれど実際には、話している途中で考えが生まれることがあります。

「どうしたいのですか」と聞かれて、初めて考える。

案を出されて、「それは嫌だ」と思ったことで、自分の希望が分かる。

言葉にしたものを読み返して、思っていたより自分が疲れていることに気づく。

考えは、頭の中だけで作られるものではありません。

外から返ってきた言葉に反応しながら、少しずつ形になります。

最初の問いが変わってもいい

たとえば、生成AIにこう話したとします。

「秋に一泊旅行へ行きたいです。おすすめを教えてください」

最初は、場所を知りたいだけだったかもしれません。

しかし、候補を見ながら話しているうちに、

「観光地をたくさん回るより、犬と静かに歩ける場所がいい」

「遠くへ行くことより、移動で疲れないことの方が大事だ」

と気づくことがあります。

すると問いは、

「おすすめの観光地はどこですか」

から、

「犬とゆっくり過ごせて、車で無理なく行ける場所はどこですか」

へ変わります。

問いが変わったのは、失敗したからではありません。

対話によって、自分が求めていたものが、よりはっきりしたからです。

選ぶ基準が見えてくる

何かを決められないとき、候補が足りないとは限りません。

何を基準に選ぶのかが分かっていないことがあります。

値段を重視するのか。

時間を重視するのか。

安心できることが大事なのか。

家族が喜ぶことを優先するのか。

長く使えることを選ぶのか。

生成AIに候補を並べてもらい、それぞれを比べているうちに、どの基準に強く反応するかが見えてきます。

「安い案を見ても、あまり魅力を感じない」

「少し高くても、手間が減る方がいい」

そう気づいたなら、それは答えを教えてもらったというより、自分の判断の仕方を見つけたということです。

反対の案が、自分の考えをはっきりさせる

自分の考えに近い返事だけを読んでいると、納得した気にはなりますが、考えが深まらないこともあります。

そんなときは、反対の案を出してもらえます。

「この考えに反対する立場から説明してください」

「私が見落としている弱点はありますか」

「まったく違う方法を一つ出してください」

反対の案を読んで、考えが変わることもあります。

逆に、反対の案を読んだことで、

「やはり自分は、こちらを大事にしたい」

とはっきりすることもあります。

どちらの場合も、対話の前と後では、自分の状態が少し変わっています。

考えが変わることを怖がらない

一度決めたことを変えると、ぶれているように感じる人もいます。

しかし、対話を通じて情報や見方が増えたなら、考えが変わるのは自然なことです。

最初の自分に忠実であり続けることよりも、今の自分が何を感じ、何を知り、何を大事にしているのかを確かめる方が大切です。

ただし、生成AIに合わせて考えを変える必要はありません。

返事を読んで、本当に納得したのか。

不安になっただけではないか。

強い言い方に押されたのではないか。

そのことも、自分で確かめます。

対話の前と後では、同じ自分ではない

大きな決心をしなくても、人は対話によって少し変わります。

知らなかった言葉を知る。

考えていなかった選択肢を見る。

自分の違和感に気づく。

言えなかった気持ちを言葉にする。

次にやることが一つ見える。

こうした小さな変化も、状態の変化です。

生成AIとの対話で重要なのは、立派な答えが返ってくることだけではありません。

対話の前には見えなかったものが、対話の後に少し見えるようになることです。

この章で覚えておきたいこと

生成AIとの対話では、最初に考えていたことが途中で変わってもかまいません。

問いが変わる。

目的が変わる。

選ぶ基準が見つかる。

自分の気持ちに気づく。

それは、対話がうまくいかなかったのではありません。

対話によって、自分の考えが動いたのです。

人は、話す前にすべてを考えているのではありません。

話しながら考え、返事を読みながら変わっていきます。